以前、我が家にもマイカーがありましたが、そのときに一番よく運転していたのが私でした。
家族4人でお金を出し合って買った車でしたが、妹の送迎に毎日運転していたことから、家族の中で一番運転がうまくなっていました。
上手くなったことから、連鎖的にいつも運転は任せられることになり、またうまくなるという好循環になったのだと思いますが、いつも運転席に座っているため、たまに他の家族が運転するので助手席に座ったりすると、なんだか落ち着きませんでした。
その落ち着かない要因の一つに、車のカギを自分が持っていないということがありました。
何かと心配性な私は、車に乗る時はインテリジェントキーを持ちながらも、絶対に鞄には予備のキーを入れていました。
これがあれば何とか車の閉じ込めは避けられると考えたからで、実際、9年間乗っていて一度も閉じ込めの経験はありませんでした。
その車も手放してからは、持っているカギといえば家のカギだけになりました。
車のカギも持っていると安心しましたし、逆に持っていないと不安になりましたが、その気持ちが家のカギに一気に集まってきた感があります。
もちろん、家のカギと車のカギは別物ですから、それぞれなくなっては困ります。
それを考えるとカギが与えてくれるものは、よりどころとなる場所へ入るための手段であり、これほど安心感を与えてくれる物もないと思います。
急な雨に降られ、車に急いでいるときに雷でも鳴ると、思わず首を縮めたものですが、車のカギを開けて乗り込むと、心底ほっとしたものです。
家のカギも同様で、特に気の重い外出を終えて帰ってきたとき、玄関先でカギを開けるとき、やれやれと思います。
時には、外から憂鬱な気持ちを抱えて帰ってきてカギを開けることもありますが、多くの場合は家に、あるいは車に無事たどり着けてよかったという気持ちでカギを開けていることが多いように思います。
それを考えると、カギをなくしたときのパニックも当然かもしれません。